コラム

クリニックコラム

口腔ケア・口腔リハビリの重要性

口腔ケア・口腔リハビリの重要性

口腔ケア・口腔リハビリとは

最近、口腔ケア・口腔リハビリの重要性が再認識されています。「口腔ケア」とは、口の中を清潔に保つことで、口腔内だけでなく体全体の健康を保つケアのことです。この言葉が生まれた背景には、介護を必要とする高齢者数の増加という日本社会の現状があります。

加齢とともに体の機能が衰えると、自力で口腔環境を整えることが難しくなるため、介護者が代わりに高齢者の口腔内に気を使ってあげる必要が出てきます。

「口腔リハビリ」とは、加齢や認知症などで低下しがちな「食べものを噛んで飲みこむ機能(摂食嚥下機能)」を維持するための訓練や指導のこと。加齢にともなって口の中やその周辺では「歯の本数が少なくなる」「口やのどの筋力が弱くなる」といった変化が起こり、食べものを噛めなくなるだけでなく飲み込みづらくなる。また、むせた時の反射が出にくくなり、食べものが誤って気道に入り込むことによる誤嚥性肺炎を起こしやすい。

とくに認知症の高齢者は、口の中のケアや食べることに無関心で、摂食嚥下機能の低下が加速しがちになる。そこで言語聴覚士などが中心になって、飲み込みやすい姿勢や飲み込み方の指導・訓練をし、食事内容や介助法のアドバイスをする。

さらに歯科医師や歯科衛生士による「義歯の製作や調整」「口腔清掃とふだんのケアの指導」も行われます。今回は、現在高齢者の方や、高齢者の介護に携わっている人に向けて高齢者の口腔内の問題や、口腔ケアの効果とポイント、口腔リハビリの重要性についてご紹介します。


噛むことの重要性

脳を活性化する

よく噛んで元気な脳をつくる

噛むことと脳の活性化の関係を調べるため、チューインガムによる実験を行ったところ、脳の種々の領域が活性化することがわかりました。噛むと運動野や感覚野をはじめ、運動プログラムをつくる補足運動野、運動や感覚を中継する視床(ししょう)、運動の学習や記憶に関わる小脳などの活性化が起こります。

高齢者の前頭前野(ぜんとうぜんや)を活性化

脳の前頭前野は人間たる所以の「知」「情」「意」と深く関わっている領域です。具体的に挙げると、考える、コミュニケーション(対話)をとる、意思を決定する、喜怒哀楽を制御する、意識や注意を集中させる、意欲を出すなどで、もっとも知的で論理的な機能が局在しています。調査によるとガムを噛む前と噛んだ後では、若い世代に比べて高齢者の方が、前頭前野の活性化する割合が高いことが判明しました。「年だから」とあきらめずに、ふだんからよく噛んで前頭前野を刺激して活性化することが大切です。


記憶力をアップする

よく噛むと多くの情報が脳に伝わる

私たちが取り入れる情報は五感情報です。食べ物を噛むと唾液と混ざり合って味が出ます(味覚)。臭いもします(嗅覚)。また、口の中には食べ物の温かさ、冷たさ、硬さ、やわらかさ、舌ざわりなどの感覚を受け入れる感覚受容器が存在しています(体性感覚)。

食べ物を噛んでいるときには音がします(聴覚)。さらに食べる際には必ず眼を使います(視覚)。つまり、噛むことは、五感情報を一挙に、かつ同時に脳に取り込むことができる唯一の方法なのです。五感から得たさまざまな情報は大脳に伝わり、さらに海馬(かいば)という場所に送られ、短期記憶として一時的に保存されます。


噛むことで「海馬」が活性化する

ガムを2分間噛んだ後の海馬の活動がどうなるか実験したところ、高齢者ほど活性化し、記憶力テストの成績も向上しました。年をとると海馬が萎縮し(小さくなり)、機能が衰えて記憶力が低下しますが、よく噛むことで海馬を活性化します。


噛むことで認知症のリスクが下がる

歯や口の機能と認知症の直接的な因果関係は、医学的に証明されていません。けれど、さまざまな研究報告から、歯や口と認知機能の深いかかわりが浮き彫りになってきました。たとえば、愛知県に住む65歳以上の男女4千人を4年間追跡し、認知症の発症と歯の本数との関係を調べたものです。歯の残存数が20本以上ある人と、歯がなく義歯(入れ歯、インプラントなど)もつけていない人とでは、認知症になるリスクは1.9倍と大きな差異が見られたのです。

咀嚼力が低いと感じている人もまた、1.5倍のリスクがあることがわかりました別の調査もあります。宮城県仙台市内の70歳以上の高齢者(1167人)を調査した結果、健康な人の歯の本数は平均14.9本、認知症の疑いのある人は平均9.4本だったのです(東北大学大学院/2003年)。


加齢による「口臭」の原因

舌垢(ぜったい)

高齢者の口臭が悪化する原因は、第一に「唾液の分泌量が減少する」事が挙げられます。唾液には殺菌作用や洗浄作用があるため、唾液の分泌量が減少することによってこれらの機能が低下してしまいます。口臭の原因の多くは、実は「舌の汚れ」によるものです。生理的口臭の6割ほどは、舌上に付着した舌苔(ぜったい)から発生しています。歯や歯茎のブラッシングは怠らなくても、舌を綺麗にする人は少ないのが現状です。

義歯の清掃不良

高齢者は、虫歯や歯周病にかかった経験が多く、詰めものなどの治療跡が残っている人も少なくありません。また、歯周病で歯が抜けてしまい、入れ歯を使っている人も多いでしょう。入れ歯を使用している場合は、入れ歯と粘膜の隙間に細菌が繁殖しやすくなります。特に高齢になると、噛む力の低下や服用している薬の影響で唾液の量が減りますのでより細菌が溜まりやすくなるでしょう。なるべく食後は義歯を外し、義歯用のブラシなどでぬめりや汚れを取り、一日に一度は洗浄剤につけておく事をおすすめします。

保湿剤の使い方・注意点

「コンクール マウスジェル」というジェル状の保湿剤です。乾いた食品が食べづらい・お口の中がネバネバする・口臭が気になる・入れ歯が擦れる・舌がヒリヒリする・・・など、お口の乾きが気になる際にお使い下さい。コンクール マウスジェルは、乾いたお口を保湿するジェルです。

使用方法:
①お口の乾燥が気になるときに、ジェルを適量指に取り、舌先に乗せるように塗布します。
②乾燥が気になる部分から、舌でジェルを塗りこみます。
③ジェルを口腔内全体に行き渡らせるように舌を動かし、粘膜を保湿・保護します。
※要介護の口腔ケアでは、介助者の指等で口腔内に薄く塗り伸ばしてください。

ミストタイプの保湿剤もあります。ジェルタイプは口腔内全体に均一に塗ることができ、誤嚥や窒息の危険から患者さんを守ることができます。ぜひお試しください。


食べる時の口の動き・口唇と舌の役割

嚥下障害とは?

「嚥下」とは、口の中のものを飲み込んで胃に送ることで、飲み込む動作が上手くできない状態を嚥下障害といいます。食べ物を上手く飲み込めないと食事が取りづらくなるため、「低栄養や脱水を起こす」「食べ物が喉に詰まって窒息する」といった危険があるほか、高齢者の命を脅かす病気「誤嚥性肺炎」を引き起こす原因にもなります。

嚥下障害の症状

食事中にむせる。特にむせやすいのは、味噌汁やお茶などの水分、または水分と固形物の入り混じった食べ物です。むせるのを避けようと水分を多く含むものをあまり取らなくなると、脱水につながります。飲食物だけでなく、自身の唾液でも咳き込む場合があります。

固形物を噛んで飲み込めなくなる

硬い食べ物はよく噛まないと飲み込めないため、麺類などの柔らかいものや、噛まずに食べられるものを好むようになります。その結果栄養が偏り、低栄養につながります。

固形物を噛んで飲み込めなくなる

硬い食べ物はよく噛まないと飲み込めないため、麺類などの柔らかいものや、噛まずに食べられるものを好むようになります。その結果栄養が偏り、低栄養につながります。

食事をすると疲れる、最後まで食べきれない

時間をかけてよく咀嚼しなければ飲み込めなかったり、飲み込んでも口腔内に食べ物が残ったりするため、食事に時間がかかるようになります。食べられるものも制限されるため、食事自体の楽しみが奪われ、食べる意欲の低下につながります。場合によっては食事の途中で肉体的・精神的に疲れてしまい、出されたメニューをすべて食べきれないこともあります。

食事の後、声がかれる

声質の変化も、よく見られる症状です。食べ物を飲み込んだあとに声がかすれたり、口腔内に食べ物が残留することから痰が絡みやすくなり、がらがらした声になったりします。

体重が減る

食べる量が減る上、食事の内容が偏るため、低栄養状態になって体調を崩しやすくなり、体重が落ちていきます。


高齢者の嚥下障害は何が原因で起こるのか?

食べ物が口腔内から咽頭、食道、胃へと運ばれるまでには多くの器官が関わっていますが、嚥下障害はこれらの器官が何らかの理由で上手く働かないことが原因で起こります。

器質的原因

嚥下に関わる口腔内から胃までの気管に食べ物の通過を妨げる構造上の問題があり、うまく嚥下ができなくなるケース

機能的原因

器官の構造そのものには問題がなく、それらを動かす筋肉や神経に問題があって嚥下機能が衰えるケースです。 運動麻痺や認知機能障害を引き起こす「脳血管疾患(=脳卒中)」、または「パーキンソン病」に代表される神経と筋肉の伝達異常が生じる「神経筋疾患」が原因の可能性があります。向精神薬(こうせいしんやく:精神科で処方される薬の総称)や鎮静剤といった、薬剤の影響で各器官の働きが低下することもあります。加齢により咀嚼や嚥下に必要な筋力が衰えるのも、機能的原因の一つです。筋力が低下すると飲み込むときに気道を閉じることができなくなり、食べ物が気管に入りやすくなります

心理的原因

うつ病などによる食欲不振など、心因性の疾患が嚥下障害を引き起こすケースです。


嚥下障害が引き起こす「誤嚥性肺炎」とは

嚥下障害が招く「誤嚥性肺炎」は、高齢者の死亡原因としても多くの割合を占める怖い病気です。

誤嚥性肺炎とは

通常、口腔内のものを飲み込むときは気管につながる部分が閉じています。しかし、嚥下障害があるとこの機能がうまく働かず、唾液や食べ物、胃の逆流物などが気管に入ってしまうことがあります。気管に入った唾液や食べ物に含まれる細菌が肺に送り込まれると、中で炎症を起こし、激しく咳き込んだり高熱が出たりといった症状が現れます。これが誤嚥性肺炎です。

日本において肺炎は、がん、心疾患についで3番目に多い死因です。肺炎で亡くなるのはほとんどが高齢者で、その中でも誤嚥性肺炎による死亡は7~8割以上を占めるといわれています(「70 歳以上の高齢者の誤嚥性肺炎に関する総入院費の推計値(2014年)」から引用)。高齢者は気管の異物を追い出す機能が衰えているため、誤嚥を起こしやすく、誤嚥性肺炎にかかりやすいのです。また、胃の逆流物を誤嚥すると、それに含まれる消化液や酸で気道粘膜が損傷してしまいます。傷ついた気道粘膜は治りにくく働きも鈍くなり、誤嚥しても咳などでなかなか異物を追い出せなくなるので、一度誤嚥性肺炎にかかるとまた繰り返してしまう危険性が高くなります。

日本人の死因の上位を占める脳血管疾患は、嚥下障害の原因の一つです。嚥下障害の兆候を見逃さないことは、がんや脳の疾患、肺炎など、命の危険がある病気の早期発見や予防につながっています。次に、自分で出来る嚥下障害の治療法をご紹介します。リハビリで劇的に改善するケースもあり、食べ物を使わないリハビリ運動なら自宅でも可能なので、すぐに実践してみてください。


口の中の汚れは全身に影響する

体には800種類以上の細菌がいると言われ、そのうち約700種類の細菌がお口の中にいるといわれています。その細菌が、痛みや腫れなどをともなう、むし歯や歯周病などを引き起こします。近年では、お口の中にいる様々な細菌が全身の健康に関わっていることが報告されています。特に歯周病が関連する病気には、糖尿病、心疾患、メタボリック症候群、早産、誤嚥(ごえん)性肺炎、骨粗鬆症(こつそしょうしょう)などがあります。


口腔ケアのポイント

高齢者の口腔ケアを行うには、どのような点に注意をすれば良いでしょうか。口腔ケアのポイントをご紹介します。

できることは自力でやってもらう

介護と口腔ケアの基本は同じです。高齢者の自立を促すためにも、サポートは必要最小限にしましょう。「歯を磨く」という動作は、手指を動かすリハビリにもなります。高齢者が使いやすい歯ブラシを準備して、できる限りのことは自力でやってもらうのがポイントです。口腔内は凹凸が多いので、仕上げや、磨き残しがないかどうかの最終チェックは介護者が行うようにしてください。

短時間で終わらせる

乾燥している高齢者の口腔内は、違和感を覚えやすくなっています。また、口の中を見られることや他人に歯を磨いてもらうことを不快に感じる人もいるでしょう。無理強いをせず、短時間で終わらせることが大切です。高齢者に気持ち良く対応してもらうためには、口腔ケアの必要性を事前によく理解してもらい、「歯を磨く=気持ち良い」と感じてもらえるようリラックスした状態で行う必要があります。

姿勢に気を付ける

口腔ケアをすると、唾液の分泌が活発になります。あごが上がった状態で口腔ケアを行うと水や唾液が肺に入り誤嚥性肺炎を引き起こす可能性があるため、あごをしっかり引いてもらうなど安全な姿勢を整えてから始めるようにしましょう。

口腔内の様子をチェックする

ケアをしながら、口腔内の健康状態をチェックすることも大切です。歯の噛み合わせや虫歯の有無、歯茎や舌、粘膜の色や状態、口臭などを確認しておくと、トラブルの早期発見につながります。何か問題や異常が見られるようであれば、すみやかに歯科医や歯科衛生士に相談してください。


パタカラ体操

「パタカラ体操」は発声しながら口を動かす、「口の体操」のことです。 「パ」「タ」「カ」「ラ」の4文字を発声するため、「パタカラ体操」と呼ばれます。 高齢者になると、口の筋肉や舌の動きが弱まるため、嚥下機能(飲み込む力)が低下し、食べ物を誤嚥してしまうことがあります。

「誤嚥性肺炎」は、誤嚥により食べ物が気管に入り、肺が炎症になることが原因で起こります。 そこで、「パタカラ体操」を取り入れることにより、口や舌の動きが鍛えられます。 食べ物を上手く飲み込めるようになれば、誤嚥性肺炎を防ぐこともできます。

では、「パタカラ体操」の具体的な方法を見ていきましょう。

「パ」「タ」「カ」「ラ」を、それぞれ5文字3回ずつ発音してみましょう。

「パパパパパ、タタタタタ、カカカカカ、ラララララ」を3回繰り返し発声すればOKです。

ですが、ただ口に出すだけで良いという訳ではありません。 それぞれの文字を発音するときのポイントを解説していきます。


ポイント

  • ①「パ」は口をしっかり閉じて発音する。
  • ②「タ」は舌を上あごにくっつけるように発音する
  • ③「カ」は喉の奥を意識して発音する
  • ④「ラ」は舌を丸めるように発音する

以上の「パ、タ、カ、ラ」の発音に共通して言えるのは、ただ発音するだけでないということです。「大きな声で」「一文字一文字」「はっきりと」意識して声に出すようにしましょう。慣れてきたらできるだけ早く、繰り返して発声すると、より効果的ですよ。童謡や好きな歌などに取り入れてみるのもおススメです。歌詞を「パ、タ、カ、ラ」に変えて歌うだけなので、「パ、タ、カ、ラ」と発声するよりは、楽しみながら体操することができます。

パタカラ体操いつするの?

「パタカラ体操」は、お食事の前に行うことをオススメします。運動前の準備体操と同じで、実際に食べる前に体操しておくことで、口や舌の動きが慣れて食事しやすくなります。ですが、もし食事の前に時間が取れない場合は、できる時に行うだけでも構いません。できるだけ習慣になるよう、続けてみてくださいね。


口腔ケアの方法

高齢者のストレスをなるべく小さく抑えるために、口腔ケアの正しい方法をお伝えします。

歯の磨き方

歯ブラシは鉛筆と同じように持ち、歯茎にあたっても痛くない程度の力で磨きます。入れ歯を使用している場合は入れ歯を外し残った歯を磨きます。

1. 歯ブラシが歯に対して90度になるようにあてます
2. 細かく動かしながら1本1本ていねいにブラッシングします
3. 奥歯の溝や歯と歯の間は汚れがたまりやすいので、磨き残しがないように念入りにブラッシングしましょう

うがいの方法

うがいは、歯と歯の間を洗浄するイメージで行ってもらいます。
1. 水を口にふくみ、左右どちらかの頬を膨らませ口をブクブク動かします
2. 反対側の頬も同じように膨らませブクブクと口を動かします
3. 上唇と上の歯の間も同様に行います
4. 最後に口の中全体を膨らませてブクブクと動かしましょう

口腔清拭(せいしき)の手順

体を起こすことができない人や口に水をふくめない高齢者には口腔清拭を行います。
1. ブラシやスポンジ、指などにウエットティッシュやガーゼを巻き、口腔内の汚れを拭き取ります
2. まずは、上の歯と頬の間を奥から手前に向かって拭きます。奥まで指を入れ過ぎると痛みを感じるので注意しましょう
3. 次に上あごも同じように奥から手前に拭き取ります。この部分は他の部分より少し強めに拭いても気持ちよく感じる部分なので、しっかりと拭き取ります
4. 下の歯と頬の間も同様に拭き取ります
※指を入れ過ぎると嘔吐反射を起こすおそれがあります。奥に入れ過ぎないように注意してください。

入れ歯の扱い方

入れ歯の外し方 入れ歯を口の中から取り出すときは、口の中を傷つけないように気をつけてください。
1. 入れ歯を外すときは、下の入れ歯から外していきます。前歯を持ち、奥歯を浮かせて空気を入れるイメージで上にあげます
2. 上の入れ歯を外すときも下の入れ歯と同様に前歯を持ち、奥歯を浮かせ、空気を入れるイメージで下におろしましょう

入れ歯の洗浄方法

入れ歯をきれいに洗浄することで口腔内を清潔に保つことができます。入れ歯は凹凸が多くぬめりが出やすいため、入れ歯専用のブラシで洗浄すると良いでしょう。 また、歯磨き粉を使って磨くと研磨剤などで傷が入り細菌が繁殖するので、歯磨き粉も入れ歯専用のものを使うことをおすすめします。
1. 入れ歯に付いたぬめりや汚れを流水で落とします
2. ある程度の汚れが落ちたら、ぬめりが取れるよう入れ歯ブラシを使って細かい部分まで磨きます
3. 入れ歯を保管するための容器に水を張り、入れ歯洗浄剤を入れます
4. 入れ歯を浸し清潔になるまで待ちます
5. 入れ歯を取り出し、流水でもう一度入れ歯ブラシを使って磨きます。入れ歯洗浄剤とぬめりが完全に取れるまでしっかり磨きましょう


物を飲み込む時ののどの動き

高齢者は、加齢とともに歯が欠損し、舌の運動機能が低下、咀嚼(そしゃく)能力が低下し、唾液の分泌も低下、口腔感覚の鈍化、塩味に対する味覚の低下などが生じて、咽頭への食べものの送り込みが遅れるような口腔での問題が生じます。また咽頭においても、喉頭(のどぼとけ)の位置が低下しているため、嚥下する時の喉頭挙上が不十分となり、上部食道括約筋を閉じている筋肉の機能不全も生じて、喉頭の閉鎖が不十分で誤嚥しやすくなります。さらに、咽頭収縮筋の収縮力が低下し、咽頭に唾液および食物が残留しやすくなり、誤嚥をきたしやすくなります。しかし、嚥下機能への加齢の影響は、個人差がみられ、高齢になっても嚥下障害がみられないこともあります。


のどの鍛え方

食事中にムセる、自分の唾液を誤ってのんで咳込む、錠剤がのみにくくなる、痰が絡まりやすくなるなどは、のみ込む力が低下してきたサインでもあります。加齢とともに下がるのど仏を維持するために、のどの筋肉を鍛えることが長生きの秘訣になります。前述した、パタカラ体操はノド・食道の筋肉を鍛えるのに効果的です。そして、首周りのストレッチをしっかり行い、筋肉を伸ばすことも重要です。首周りの筋肉をストレッチなどで伸ばすことで、喉の筋肉が動きやすくなります。首をぐるぐる回したり、左右にゆっくり曲げるなどの運動をすると首が温まり、喉も動くようになるでしょう。また肩の凝りをほぐすことで首、喉周りの筋肉が楽になることもあります。肩をぐっと天井の方にも仕上げてから、パッと脱力するという動作を10回くらい行うと、肩が温まり、喉周辺の筋肉も楽になるのです。


口の体操「あいうべ体操」

口内が乾燥している場合、雑菌やウイルスが舌や咽頭(いんとう)に付着しやすく、風邪やインフルエンザにかかる可能性が高まります。高齢で全身状態があまり良くないと、ちょっとした風邪が長引いて、そのまま寝たきりになってしまうケースも少なくありません。口腔内乾燥を招く「口呼吸」を防止するための〝あいうべ体操〟を紹介します。まず「あ」、「い」、「う」で口まわりの筋肉の準備体操をし、「べ」で思いきり舌を出します。思い切り口を開いたり閉じたり、舌を出したりすると、舌や頬の筋肉に痛みを感じると思いますが、筋肉痛になるくらいが効果的。ただ、むせたり、顎(がく)関節症などであごを大きく開くことができなかったりする場合は「い」と「う」のみを繰り返してください。


食べる姿勢や食べ方

良い姿勢とは、誤嚥しにくい姿勢です。お食事の際には、楽で美味しく安全に食べられる姿勢が大切です。顎を上げた姿勢は、お口から喉に流れやすいため誤嚥の危険性が高くなります。また、飲み込む機能が落ちてくると、飲み込んだ後に喉に食べ物が残り、お食事から時間が経って誤嚥してしまう恐れもあります。誤嚥しにくい姿勢で召し上がって頂くことで誤嚥の危険の少ないより安全な食事につながります。一般的にいいとされている姿勢です。ただし、特に麻痺のある方などはこれに限らず、個人に合った姿勢を重視します。


まとめ

高齢化が進むいま、介護を必要とせず自立生活できる期間を健康寿命といいますが、実際平均寿命との差が約10年。つまり10年の間、家族やご自身が寝たきりや認知症の状態になってしまう可能性があります。この問題に口や歯の健康が深く関わっています。予防をして歯がたくさん残っていると、全身疾患のリスクが低く健康で長生きであり、また認知症が発症しにくいことが知られています。そして最近の研究では、歯周病と糖尿病・心臓病・脳梗塞・早産などの病気との関係性が明らかになってきています。口腔ケアは口の健康や機能を保つだけでなく、食べる喜びや、会話を楽しみ笑顔で人と接しコミュニケーションを図るなど、生きる喜びや精神的にも豊かな生活を支える目的があります。いつまでも“その人らしい”身体も心も豊かな生活ができるように。

24時間オンライン診療予約